大学中退で失うものは、あります。
この記事で、「大学なんて中退しても大丈夫です」と励ますつもりはありません。
大学を卒業していなければ、応募できない求人はあります。大卒という学歴も得られません。大学に残った友人を見て、「自分だけ違う道に来てしまった」と感じることもあるでしょう。
ただ、一つ確認してみてください。
大学中退で「失ったもの」と、「これから失うかもしれないもの」を、一緒にしていませんか?
大学を中退したことで、すでに失ったものはあります。でも、就職、仕事、収入、資格、これからの学び、人との出会いまで、すべて失ったわけではありません。
「大学中退=人生終了」と感じているなら、まずこの二つを分けて考えてみます。
大学中退で、実際に失ったものは何か
大学を中退すると、変えられない事実が一つできます。
「その大学を卒業しなかった」という事実です。
そのため、大学卒業によって得られるはずだったものの一部は失います。
たとえば、大卒という学歴。「大学卒業以上」を応募条件とする求人への応募機会。その大学で卒業まで学び続ける機会。同級生と一緒に卒業するという経験。
ここは、「何も失っていない」と考える必要はありません。中退したことを後悔しているなら、その後悔まで無理に消す必要もありません。
ただし、ここからが重要です。
大学中退によって失ったものと、まだ起きてもいない未来まで失ったことにするのは別の話です。
「失ったもの」と「これから失うかもしれないもの」は違う
大学を中退すると、不安が一気に未来へ広がることがあります。
「まともな会社には就職できないかもしれない」「ずっとフリーターになるかもしれない」「収入が低いままかもしれない」「結婚できないかもしれない」「人生をやり直せないかもしれない」。
ここで、一度分けます。
大学を卒業しなかった。これは、すでに起きた事実です。
一方、「就職できない」「ずっとフリーターになる」「人生がうまくいかない」。これは、まだ起きていない未来です。
同じではありません。
大学中退によって選べなくなる道はあります。しかし、これから選ぶ道まで、大学中退した日にすべて決まったわけではありません。
履歴書を一枚、思い浮かべてください
大学を中退した直後の履歴書を考えてみます。
高校卒業。
大学入学。
大学中退。
まだ職歴がほとんどなければ、履歴書の中で「大学中退」という一行はかなり大きく見えるでしょう。
では、その5年後はどうでしょうか。
就職した。
仕事を3年間続けた。
資格を取った。
別の会社へ転職した。
そんな履歴が加われば、大学中退という事実は消えませんが、履歴書全体は変わります。
大学中退という一行は、あなたの履歴全部ではありません。
これから職歴や経験が増えれば、その後ろには新しい行が増えていきます。大学中退した直後には、その「これからの行」がまだ見えない。だから、中退という一行だけが必要以上に大きく見えることがあります。
では、大学中退後には何ができるのか
ここで、「これから」の話をします。
大学中退後の進路は一つではありません。大きく整理すると、少なくとも次の7つがあります。
- 正社員として就職する
- フリーターとして働きながら進路を考える
- 専門学校へ進学する
- 別の大学へ編入する
- 通信制大学などで学び直す
- 資格やスキルを身につける
- 起業・フリーランスなど別の働き方を選ぶ
どれが正解という話ではありません。
早く収入や職歴を得たいなら、①正社員として就職する道が候補になります。まだ進路を決められないなら、②フリーターとして働きながら、期限を決めて考える方法もあります。
目指す仕事に専門教育が必要なら③専門学校。大学卒業をもう一度目指したいなら、条件によって④編入や⑤通信制大学なども検討できます。
特定の仕事に必要なのが資格や実務スキルなら、⑥の方が目的に近いこともあります。すでに技能や経験があり、自分で仕事をつくりたい人には⑦という道もあります。
7つを詳しく比較した記事はこちらです。
→ 大学中退、その後どうなる?7つの進路
全部を今すぐ選ぶ必要はありません。まず知ってほしいのは、大学を中退したあとにも複数の道が残っているということです。
① 正社員として就職する場合
ここで、「でも、大学中退で正社員になれるの?」と思った人もいるでしょう。
確かに、「大学卒業以上」を応募条件としている求人では、中退者が条件を満たさない場合があります。これは大学中退によって失う可能性のある選択肢の一つです。
しかし、すべての求人が大卒限定というわけでもありません。求人によって、学歴、経験、資格、スキルなど、求められる条件は異なります。
だから、
「大学中退=就職できない」
と一括りにはできません。
重要なのは、自分が応募できる求人があるのかを実際に確認することです。
→ 大学中退でも就職できる?現実と選べる進路
頭の中で「もう無理だ」と決めることと、実際の求人条件を確認して「これは応募できない」と分かることは違います。まず、事実を確認します。
② フリーターとして働きながら考える場合
中退したあと、すぐに正社員にならず、アルバイトを始める人もいるでしょう。ここでも、「フリーターになったら終わりなのでは」と不安になるかもしれません。
ただ、問題は「フリーターになった」という一日だけではありません。
半年間アルバイトをしながら就職活動をする人。資格の勉強をしながら働く人。進学先を調べるために一定期間働く人。何も決めないまま数年間が過ぎる人。
同じ「フリーター」でも、中身は違います。
だから見るべきなのは、
フリーターかどうかより、「いつまで続けるのかを自分で決めているか」
です。
→ 大学中退後フリーター。このままでも大丈夫?
大学中退した日に、その後ずっとフリーターでいることまで決まったわけではありません。
「中退してよかった」と思えなくてもいい
大学中退について調べていると、「大学を辞めてよかった」「中退したから成功できた」という話を目にすることがあります。
そういう人もいるでしょう。でも、あなたまで大学中退を「よかったこと」にする必要はありません。
辞めたことを後悔していてもいい。できれば卒業したかったと思っていてもいい。
過去の選択を肯定することと、その後の人生をつくることは別です。
大学中退がよかったのかどうかは、その後によって見え方が変わります。
→ 大学中退してよかった?答えは「その後」で変わる
「中退してよかった」と思えることを目標にする必要はありません。それよりも、今から何を増やすかを考えます。
大学中退という一行は、消さなくていい
履歴書を書くとき、「大学中退って書きたくない」と思うことがあるかもしれません。
大学中退は、なかったことにはできません。だからといって、隠すことを目標にする必要もありません。
大学に入学した。
途中で退学した。
その後、何をしたのか。
履歴は、その順番で続いていきます。
最終学歴や履歴書への記載については、こちらで整理しています。
→ 大学中退の最終学歴は高卒?履歴書ではどうなる?
→ 大学中退は履歴書にどう書く?書き方と注意点
大切なのは、大学中退という一行を消すことではありません。
その後ろに、何を書くかです。
ここでもう一度、「人生終了」に戻ります
最初の問いに戻ります。
大学中退で、人生は終了するのでしょうか。
大学中退によって失うものはあります。大卒という学歴。大卒を応募条件とする一部の求人。その大学で卒業まで学ぶ機会。
これらを「何も問題ありません」と言うつもりはありません。
一方で、就職すること、仕事を続けること、資格を取ること、別の大学で学ぶこと、通信制大学などで学び直すこと、経験を積むこと。これらまで、大学中退した瞬間に失ったわけではありません。
ここを一緒にすると、
「大学を卒業しなかった」
↓
「もう何も選べない」
↓
「人生終了」
という結論になってしまいます。
でも、その間にはかなり大きな飛躍があります。
人生が終わったのではなく、一つの予定が終わった
大学へ入学したとき、「4年間通う。卒業する。就職する」。そんな予定をなんとなく描いていた人もいるでしょう。
大学中退によって、その予定は途中で終わりました。これは事実です。だから、予定どおり進んでいる同級生を見ると、自分だけ人生から外れたように感じることがあります。
予定が終わったことと、人生が終わったことは同じではありません。
これから正社員として働くのか。少し時間を取るのか。専門学校へ行くのか。別の大学へ行くのか。通信制大学などで学び直すのか。資格やスキルを身につけるのか。別の働き方を選ぶのか。
次の予定は、これから決めます。
大学中退という過去は変えられません。でも、その後の履歴はまだ増えていきます。
大学中退は、あなたの履歴の一行です。
最後の一行ではありません。
参考資料
- 厚生労働省「公正な採用選考の基本」
- 厚生労働省「履歴書様式例」
※採用条件や進学条件などは企業・学校によって異なります。具体的な進路を検討する際は、各企業・学校等が公表する情報をご確認ください。